日本人気質とものづくり

 ものづくりという言葉が、日本特有の言葉であり、大和言葉であるというのは、すでに紹介した通りです。そして、ものづくりとは、日本人独自の考え方や、職人の技術などに対する尊敬があってこそ存在していると言えます。もう少し、日本独自、という点に注目して見ていきましょう。

 外国人から見た、日本人の特徴がどんなものかを見ていくと、わかりやすいかもしれませんね。日本人のイメージは、礼儀正しい、親切、秩序だっている、冷静で感情的にならない、誠実で嘘をつかない、完璧主義、きれい好き。ステレオタイプですが、外国人が日本人を褒めるとすると、こんな感じですね。逆に貶めると、表面は礼儀正しく親切でも、腹の中は読めない、融通が利かない、日和見主義、といったところでしょうか。いい意味でも悪い意味でも、こうした日本人の特徴は、ものづくりに必要なものです。完璧主義の日本人は、独創的なアイデアを生み出しはしませんでしたが、実用化できずにいた技術を商業ベースにのせることに成功し、大きくて扱いづらい製品を小型化させ、代替技術を生み出して、ものの形を変化させてきました。きれい好きで秩序だっている日本人は、工場内を使いやすく効率的に仕事ができるように改善していきます。そして誠実な日本人は納期をなんとしてでも守ろうとします。もちろん日本人には欠点もありますし、個人個人で性格も違います。ですが、外国から見た日本人がそう見えるのは、やはりそのように振舞う人が多いからに他なりません。

 そして、日本人の特徴として、もうひとつ重要なことがひとつ。日本人は、美意識が高いということが上げられます。自分が作り上げるものがひとつの部品であっても、美しく作り上げればそこには満足感と充足感を覚える人種でもあるのです。部品とは限りませんが、ものづくりにもっとも必要なのは、多くの日本人がもともと持っている美意識のような気がします。

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