ものづくりの付加価値

 ものづくりである以上、作られたものには購入する人にとって、選ぶべき価値がなければいけません。では選ばれるべき価値とは何か、よく言われるのが付加価値という言葉です。付加価値というと、独創的なものやレアなもの、直接そのサービスやものを作り上げた人に対して、金銭的な利益のないものも含まれます。ですが、ものづくりにおける付加価値は、そうした意味ではなく、あくまでも経済上の付加価値ということになります。

 ビジネス上、経済的観念から見た付加価値の計算方法を見てみましょう。基本的に付加価値は、控除法と積み上げ法で求められます。控除法は売上高から、原材料費や仕入高、外注費などを引いていくという方法。積み上げ法は、経常利益+人件費+金融費用+賃借料+租税公課+減価償却費を全て積み上げて計算していくというもの。ものを作るのにかかったコスト、人件費や広告費、材料費など、物を作るためにはお金が必要です。そしてものを売るという事は、ものを作るのにかけた金額よりも大きな収入があって、ようやく利益になります。ものやサービスを作り出すためにかかったお金、それ以上の金額を支払い、企業が利益を生み出すために必要なもの。おおざっぱに言えばこの利益が、イコール付加価値です。ですから、付加価値というものは基本的にものをつくった企業や個人が付け加えることはできません。付加価値とは、購入する人、消費者が作るものなのです。もちろん企業は、商品やサービスに付加価値を与えるために努力をしています。ですが、それがニーズに合致していなかったり、受け入れられなかったりすれば付加価値ではなく負債になってしまうでしょう。手間暇かけて、誰が見てもすごい、技術力が高い、と認められるものであっても、ものづくりが仕事である以上、買ってくれる人、お金を出す人がいなければ技術も独創性も個性も、結局付加価値とは呼べないのです。

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