ものづくりは製造業?

 最近は、ものづくりといえば製造業というようなイメージを持つ人も多くなっています。もちろんそれも間違いではないのですが、製造業に対するイメージ如何では、ものづくりと製造業が結びつかないこともあります。なぜ、日本の製造業がものづくりの代表格となったのか、その理由を考えてみましょう。製造業に関わらず、ものづくりとは付加価値を持ったものでなければいけません。ですが、その付加価値は、個性やオリジナリティだけではありません。同じ品質のものであれば、より安く、安いものであればより高品質なもの、より納期が短期間で済むもの、不良率が低いもの、そういったものの、それらも付加価値です。日本の製造業は、そうした品質と価格、効率化を追求していくことで付加価値を作ってきました。効率的に、高品質なものを作るというのは、日本人が得意とするところ。製造業がものづくりであるには、製造業に対するイメージが「誰にでもできる単純作業の仕事」である場合には、なかなかものづくりと製造業のイメージは一致しないかもしれませんね。

 日本標準産業分類では、製造業は次のように分類されています。食料品製造業、飲料・たばこ・飼料製造業、繊維工業、木材・木製品製造業、家具・装備品製造業、パルプ・紙・紙加工品製造業、印刷・同関連業、化学工業、石油製品・石炭製品製造業、プラスチック製品製造業、ゴム製品製造業、なめし革・同製品・毛皮製造業、窯業・土石製品製造業、コンクリート製品、鉄鋼業、非鉄金属製造業、金属製品製造業、はん用機械製造業、生産用機械製造業、業務用機械製造業、電子部品・デバイス・電子回路製造業、電気機械器具製造業、情報通信機械器具製造業、電子デバイス,精密機械以外のハードウェア、輸送用機械器具製造業、その他の製造業の24分類です。もちろんどの分野でも、ものづくりにこだわった企業があります。ですが単純に、ものづくりイコール製造業とは言えないのです。大工さんは、確かに木材・木製品製造業に分類されるでしょう。ですが大工さん、またはとび職の方は、日本人にとって製造業というよりは職人です。そして職人と呼ばれる人たちのなかには、もちろん法的な製造業という分類のどこにも当てはまらない職業もあるのです。

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