クリエイティブなものづくり

 ものづくりという言葉は、もちろんかなり広範囲なものを指す言葉です。ですから、製造業におけるものづくりとは異なり、ひとつのものを、時間をかけて、たとえコストがかかっても他にはないものを、こうした製作姿勢も、もちろんものづくりと言えます。そして、最近の傾向としては、ものづくりはクリエイティブなもの、という認識も広まってきているようです。

 ものづくりは本来、必ずしもクリエイティブである必要はありません。伝統的なものをきちんと作ること、技術力で優位性のあるもの、これらももちろんものづくりの精神を受け継いでいるものたちですから。ですが、経済的な意味ではなく美術品や希少価値に近い意味合いでの付加価値、そんな意味で優位性を出すために、独創的なものを目指す人も出てきたわけです。製造業のライン工程とは対極の、自分にしかできない仕事、というわけです。もちろんどちらが立派とか、そういう話ではないのですが、どうもクリエイティブなものづくりを目指す人は、クリエイティブであることがものづくりの本質であると誤解していることも多いようです。ものづくりは、結局のところ技術です。技術がなければ、いかに個性的であっても意味がありませんよね。また、独創的であるがゆえに、使いにくかったりするのも無意味です。本当に使いやすいものと言うのは、見かけはクリエイティブなものには見えないこともあるのです。ものづくりは新しい物を作り上げることで大きく成長していくこともありますから、ものづくりがクリエイティブであるというのは間違ってはいません。ですがクリエイティブがものづくりの本質だと見間違えてしまうのも愚かなことと言えるでしょう。

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