グローバル化するものづくり

 日本は人件費が高いこと、通貨高であること、それがコスト高の原因となり、製造拠点を海外に持つ企業も多くなってきました。ですが、海外に工場を作って、ものを売ること、これは実はグローバル化ではありません。それでは海外工場を持つことは何かというと、国際化ということになります。それでは今日本が目指しているグローバルなモノづくりとは一体どんなものなのでしょう。

 日本は、グローバル化という点では中国・韓国に負けている状態です。グローバル化がいい意味で広く使われるようになったのは1990年代のこと。日本企業は保守的だと良く言われています。グローバル化についてもそうでした。中国韓国のグローバル化の方が、足が速く、結局日本は特に家電の分野で新興国への進出に後れを取ったのです。

 グローバルと似た言葉に、国際化という言葉があります。国際化というのは、地球という大きな単位でみるグローバルとは異なり、単純に国家間の交流です。この国際化は、別に日本が中国韓国に送れたというわけではありません。ですがものづくりの現場ではグローバルにはなれなかった。グローバル企業というのは、アメリカのアップルやマイクロソフト、グーグルなど、世界で同じサービスを提供する企業のことです。日本の海外進出は、基本的に現地化が基本となっています。もちろんものづくりですから、現地の人に受け入れられる形にカスタマイズすることも必要です。例えば日本を世界に例えるとわかりやすいかもしれませんね。仮に日本が「世界」であるとしたら、お菓子にしても、日本ではご当地ものが血行ありますよね。地域その地域に行かなければ手に入らない、そして地域に受け入れられるものを作る、それが国際化ということです。そして全国で一斉販売されるお菓子、これがグローバルということです。本来のグローバルは、世界中のどこででも、同じものが売られている状態であることなのです。もちろん日本のグローバル化戦略は、IT企業のようにはいきません。ですが、ものづくりの精神そのものが、徐々にグローバル化しつつあります。トヨタ生産方式のように、日本のものづくりの基本であり精神性を、現地の工場で実現していきつつあるのです。

 もちろんグローバル化が進むというのは、いい事ばかりではありません。インターネットを使い、世界のどこにいても世界中の情報が集められるようになると、悪いニュースが流れれば世界的に大きく為替を変動させるようになってきました。つまり現在のグローバル企業が主にIT系企業だというのは、情報伝達が格段に早くなったというここ10年ほどの急激な情報化社会に適応した企業であるということです。韓国などは、製品の開発がとにかく早いことが特徴です。そのことにはもちろん、悪い面もあるのですがグローバル化していく上では成功のための重要な要素になっています。そもそも韓国では、英語教育など、グローバル人材の教育に力を入れていますから、下地がそもそも日本とは違うというのは確かです。もちろん日本は、見習うべきところは世界中のグローバル企業を見習い、ですが日本のものづくり精神を失わずにものを作っていくこと、これが日本のものづくりをグローバル化していくということになるのではないでしょうか。

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