伝統工芸とものづくり

 伝統工芸と言われて、思い浮かぶもの、あなたにはいくつあるでしょうか。陶磁器や漆器、日本人形や木工細工や竹細工、和紙や織物、伝統的な染物や着物、織物、また仏壇なども伝統工芸です。もちろんこれだけではなく、もっと多くのものが古くから伝わってきました。近代になって海外から輸入された技術ではなく、日本に昔から伝わる技法や伝統的なものたちは、大量生産された商品とは一線を画し、長く愛され続けています。こうした伝統工芸は、もっとも私たちが理解しやすい「ものづくり」かもしれません。伝統工芸と呼ばれるものづくりの条件というのは、熟練した技が必要なこと、手工業であること、日常生活で使われているものであること、長い歴史があることでもあります。ですが、もともと伝統工芸は、長く受け継がれていく過程のなかで、さまざまに変化し、技術をより高めてきたものです。最近の伝統工芸は、変化のない、昔ながらのものを指すことばかりになってしまいました。

 また、伝統工芸は、多くの現場で後継者不足が叫ばれています。「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」というのがあるのですが、この法律で、伝統工芸は、一定の地域で産業として成り立っていることが条件とされます。後継者がいなくなれば、もちろん産業として成り立ちません。伝統工芸は今まで続いてきたものだけに、今後もずっと伝統工芸であり続けられる、と言うわけではなさそうです。

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